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『素晴らしき日曜日』あらすじと解説:純粋な愛が描かれた黒澤作品(黒澤明映画第5作品)

1947年(昭和22年)7月1日に公開された映画『素晴らしき日曜日』。

敗戦直後の東京で貧しさを乗り越えようとする若いカップルの姿を描いた作品です。

この記事では、黒澤明監督の5番目の作品となる『素晴らしき日曜日』をご紹介します。

映画『素晴らしき日曜日』のあらすじ

 

時は戦後、まだ悲惨な跡が残っていた時代の東京の物語です。

有り金が少ない上、住宅難で一緒に住めず、週の1日日曜にだけ会えることを楽しみに日々を過ごしている一組の貧しいカップルがいました。

友人の家に住んでいる雄造と姉の家で暮らしている昌子という二人の男女のお話です。

一緒に住めない彼らが、だだひとつ楽しみにしているのは週に一度だけ会うことが出来る日曜日のデートでした。

しかし、思うようには行かず、幸せなだけではやりきれない想いが二人を襲います。

うまく行かないことが続く日曜日。

やるせない気分になる雄造と、どんな状況でも明るく乗り越えようとする昌子。

物語の最後には音楽堂のステージで指揮をする雄造でしたが、いくら指揮をしても音は鳴ってくれません。

昌子はそんな彼の姿を見て、スクリーンの外にいる映画の観客に拍手を求めます。

辛い日々を明るく支え、笑顔を絶やさず乗り越えようとしていくのです。

ちなみに、昌子がスクリーンの外の観客に向かって拍手シーンは、日本では全くは流行りませんでした。

しかし、海外では観客からの盛大な拍手か送られる名場面になったそうです。

もし機会があれば、このシーンは、シアターの大画面で体験してみたいものです。

映画『素晴らしき日曜日』の元ネタ

 

この物語が作られた背景として黒澤監督と同級生の植草圭之助さんが偶然に再会したことをキッカケになったことにあります。

黒澤監督と植草氏は無声映画『素晴らしき哉人生』にヒントを得て、この作品を作り始めます。

『素晴らしき哉人生』は住宅難で結婚できない二人の男女の物語でした。

彼らは一緒に暮らすために空き地に芋を育て始めました。

やがて収穫の時期になったところでせっかくの作物を盗まれてしまいます。

小さな住宅を立てようとしていた青年は今までの努力が泡となり悲しみに暮れます。

しかし、恋人は彼を鼓舞し、立ち直らせてまた頑張っていくというお話です。

この映画を基ネタにし、新たな物語が作成されました。

 

映画『素晴らしき日曜日』は元気になれる映画

 

戦後すぐの1947年に作られた作品のため、街の焼け跡や荒廃した建物、時代の風景がとてもリアルで現実的に表現されていて、今見てみると写実的な表現に余計にとても惹かれるものがありました。

この作品は黒澤監督の他の作品ではあまりみることのない、純愛の物語です。

力強く迫力のある作品が多く、そのようなイメージがとても強い黒澤監督ですが、こような純粋な恋愛の作品を作っていたことにビックリしました。

また、役者の演技も印象的でした。

特に印象に残ったのは、彼女役・中北千枝子さんの健気に支え、とても可愛らしいチャーミングな演技です。

落ち込み嘆く彼を明るく勇気付ける、中北千枝子さんの笑顔には観客も元気付けられます。

お金がなくても愛があれば乗り越えられるということを体現してくれた映画だと思います。