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『用心棒』(黒澤明映画第20作品あらすじと解説):三船敏郎の特異なキャラクター設定が秀逸な作品

1961年(昭和36年)4月25日に公開された映画『用心棒』。

三船敏郎の神レベル殺陣や演出方法は、後世の時代劇のバイブルとなりました。

この記事では、黒澤明監督の20番目の作品となる『用心棒』をご紹介します。

映画『用心棒』のあらすじ

 

荒廃した宿場町にたどり着いた一人の浪人(三船敏郎)。

その宿場町では賭場の利権争いをする清兵衛と丑寅の抗争が絶えず、町人たちの生活は行き詰まっている。

町がそのような状態であることを、居酒屋の権爺殻聞いた浪人は、丑寅の子分を切り倒し清兵衛に用心棒を買ってでるのでした。

この用心棒を欲しがる清兵衛と丑寅。

用心棒の奪い合いが始まり、更に激化する宿場町の抗争。

はたして、この町は平穏を取り戻すことができるのか?

 

映画『用心棒』は現代時代劇のバイブル

 

黒澤明監督は本作について「この作品の最大の魅力は、殺陣のシーンではなく主人公の三十郎(三船敏郎)の特異なキャラクター設定にある」と語っています。

その言葉どおり本作の主人公である浪人の三十郎は、どこかクールで只ならぬ強者であるという佇まいもありながら、粗野で3枚目なところも併せ持つとても魅力的なキャラクターに仕上がっております。

物語の中に三十郎が居るというよりは、三十郎というキャラクターが物語を引っ張っていくような雰囲気です。

三十郎というキャラクターを目で追っているうちに物語に引き込まれるというような作りになっています。

そしてその三十郎というキャラクターを引き立てる要素の1つに殺陣の素晴らしさがあることもまた間違いありません。

事実、本作はその後の日本映画の殺陣に多大なる影響を与えています。

例えば、今ではお約束の演出になっているすれ違いざまにお互い斬り合い片方が後に倒れる演出や、もう今では無くてはならない刀による斬殺音なども本作によって発明されたものです。

また、本作の殺陣の特徴である敵を斬る時に2回斬りつけるというものも、黒澤明監督による「1回斬ったくらいじゃすぐに死なないだろう」といった発想から生まれています。

こうして際立ったキャラクターを中心にストーリーが展開されていく様は、時代劇でありながらどこか西部劇を思い出させるのも特徴的です。

舞台になっている町も、どこかカラッと乾燥して寂れており、つむじ風舞うという時代劇の影響も感じさせる雰囲気になっています。

この町は撮影所の近所の広大な畑を潰してロケ地を建てることによって生み出されたそうです。

 

映画『用心棒』は単純に面白い映画

 

私がこの作品を観終わって真っ先に出た感想は「あー面白かった」という一言です。

この作品はエンターテイメント映画として非常によく出来ています。

『黒澤明監督の作品は、七人の侍だけなら観たことあるよ!』という方は多いと思いますが、そん方にぜひ観ていただきたいのは本作です。

というのも、本作は明らかに七人の侍のエンターテイメント魂を継承しており、その系譜であることを強く感じるからです。

私は白黒映画の世代ではなく、かつてはなんとなく白黒時代の映画は芸術的テーマ性が強くて抽象的だという偏見を持っていました。

しかし、それを圧倒的なエンターテイメント性を持って軽く吹き飛ばしてくれたのが『用心棒』でした。

なので黒澤明監督をよく知らない人も、時代劇にあまり触れたことがない人でも、なんの予備知識もなしにストーリーに引き込まれると思います。

それほど、『用心棒』はシンプルに面白い映画なのです。

あなたもぜひこの主人公の三十郎の魅力を感じてみてください。