注目キーワード
  1. ランキング

『隠し砦の三悪人』(黒澤明映画第18作品あらすじと解説):黒澤映画初の痛快娯楽アクション作品

1957年(昭和32年)9月17日に公開された映画『隠し砦の三悪人』。

この作品は、スターウォーズのモデルにもなった痛快娯楽アクション映画となった黒澤映画初の痛快娯楽アクション作品です。

この記事では、黒澤明監督の18番目の作品となる『隠し砦の三悪人』をご紹介します。

映画『隠し砦の三悪人』のあらすじ


舞台は戦国時代、隣り合う山名家と秋月家による争いはついに終わりを告げようとしていました。

三船敏郎演じるは秋月家の敗戦の大将・真壁六郎太。

戦に敗れた六郎太は、秋月家が所有していた金200貫を持ち、さらに世継ぎの雪姫を連れて、落とされた城からの脱出を試みるのです。

一方、褒美を貰いたいがために六郎太、雪姫の与力となる百姓の太平と又吉。

六郎太と雪姫に懸賞金がかけられていると知ります。

しかし、何をどうしたらよいか知恵がない太平と又吉は途方にくれてしまいます。

ある日のこと、2人は川で秋月家の家紋が刻まれた金の延べ棒が包まれている薪木を見つけます。

これは持ち去られていた金に違いない、他にもあるのでは…と辺りを探し始める太平と又吉。

その時、2人の前にある男が現れるのです。

 

ジョージルーカスを魅了した映画『隠し砦の三悪人』

 

いくつもの困難に立ちはだかられながらも危機一髪のところで乗り越えていく六郎太と雪姫。

そして、知恵がないながらも一攫千金を狙う太平と又吉。

この奇妙な組み合わせが織りなすストーリーは、脱帽必至のアイデアばかりの大傑作なのです。

この作品には、黒澤明監督の特に強いこだわりが表れています。

富士山でのロケではたった11カットを撮るのに、イメージ通りの天候にならず100日間も費やしているのです。

その為、制作日数は予定の倍、制作費も当初予算の約1.6倍にもなる、1億5000万円にまで膨らんでしまいました。

黒澤明監督だからといって、こんなにも費用と時間をかけていいものかと東宝内で問題となってしまい、なんと退社を強いられ事態にも発展しました。

しかし、この「隠し砦の三悪人」は大ヒットを記録し、第9回ベルリン国際映画祭監督賞を受賞します。

世界に認められた黒澤明監督の作品は、海外の様々な大物監督に影響を及ぼすことになります。

ジョージルーカス監督は、「スターウォーズシリーズ」が「隠し砦の三悪人」の影響を受けていることを明かしています。

スターウォーズに出てくるレイア姫は男勝りな雪姫、そして愉快なコンビであるC-3POとR2-D2は太平と又吉がモデルであると言われています。

さらにオープニングやラストのシーンまで酷似しているので、相当な影響を与えているのがわかります。

撮影の仕方にも随所にこだわりがちりばめられていて、全編モノクロの作品ですが絶妙な濃淡で表現される光と影はなんとも幻想的で美しいのです。

望遠レンズを好んで使っていた黒澤明監督は、戦のシーンではその特性を最大限に生かしています。

中でも、騎馬に乗る敵を三船敏郎が追いかけながら斬るというシーンなどはとてもダイナミックで臨場感に溢れています。

 

映画『隠し砦の三悪人』のあらすじ

 

「隠し砦の三悪人」は、それまで黒澤明監督の作品とは格段に違い、よりストレートに映画を楽しむことのできる作品となりました。

「隠し砦の三悪人」は、単なる時代劇ではなく、アクション映画であり、喜劇映画でもあるというような絶妙なバランスで作られている作品です。

そんな微妙なバランスを可能にしているのは練りに練られた脚本と、真壁六郎太役の三船敏郎、コミカルな百姓コンビを演じた千秋実と藤原釜足などの選ばれし実力派俳優です。

黒澤明監督初の娯楽作品ではないかという声もあます。

「七人の侍」でさえも、寂しさを感じる結末であったのに対し、「隠し砦の三悪人」は鑑賞後にスッキリとした気分になります。

これ以降に黒澤明監督は、「用心棒」や「椿三十郎」といった娯楽アクション作品を撮るようになりました。

「椿三十郎」の三十郎の原型は真壁六郎太であり、真面目で忠誠心の塊のような六郎太のキャラにユーモアやアウトローな格好良さを加えたようだと言われています。

「隠し砦の三悪人」は、黒澤明監督のターニングポイントにもなっているのではないかと思えてならない作品なのです。