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『羅生門』(黒澤明映画第10作品あらすじと解説):カメラマン宮川一夫による白と黒の美学

1950年(昭和25年)8月26日に公開された映画『羅生門』。

非常に有名な作品なので、タイトルだけは知っているという人も多いのではないでしょうか。

この記事では、黒澤明監督の10番目の作品となる『羅生門』をご紹介します。

映画『羅生門』のあらすじ


時は平安時代です。

京の羅生門で下人が雨宿りをしていると、同じく雨宿りをしている杣売りと旅法師がなにやら深刻な話をしている様子です。

下人がふたりの話にはいっていくと、それは数日前の殺人についてのことでした。

それは、証言する人ごとに内容が違っている、という不思議な事件でした……。

 

映画『羅生門』の解説

 

この『羅生門』はイタリアのヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞や、アメリカのアカデミー特別賞など、海外の映画賞を取った作品です。

受賞したとき、日本は戦後まもないころで、まだ進駐軍が駐留していました。

そんななか、日本映画が初めて海外に認められたという点でも有意義でしたし、戦争が終わって自信を失っていた日本人に希望を与えたという点でも特筆すべき作品です。

作品は文豪芥川龍之介の「羅生門」と「藪の中」をベースにしています。

ストーリーの中心は「藪の中」のほうです。

脚本を担当したのは、橋本忍さんと黒澤監督です。

橋本忍さんはこのときまだ新人シナリオライターでしたが、この作品を機に、その後黒澤映画に数多く携わるようになります。

そもそものきっかけは、佐伯清さんのもとでシナリオの勉強をしていた橋本さんが、文豪芥川龍之介の「藪の中」をもとにしたシナリオを書いていて、それを師が黒澤監督に推薦したことに始まります。

黒澤監督がこれを気に入り、映画化をはかったのです。

撮影時のエピソードとして伝えられているのは、冒頭の雨のシーンです。

モノクロカメラで雨粒を捉えるために、墨を混ぜた黒い水をつくり、それをホースで降らせたのだそうです。

そういう豆知識を持って冒頭の迫力あるシーンを観るのも、ひとつの楽しみです。

 

映画『羅生門』の感想

 

海外で賞を取ったときの評価は、主にテーマとシナリオだったそうです。

しかし、個人的には、この映画の白黒の映像の美しさということを第一にあげたいです。

本当にすごい映像です。

私なんか、観ていて「おおっ」と思わず声をあげてしまうような絵がたくさんありました。

大昔の映像なのに、なんでこんなにきれいなのか。

カメラマン宮川一夫の面目躍如といったところです。

このかたは、当時のカメラマンは絶対にしなかった、太陽にカメラを向ける、なんてことさえやったそうです。

「羅生門」によって、黒澤明監督の名前が国際的になったばかりではなく、カメラマン宮川一夫の名前もまた国際的になりました。

さて、この作品のテーマの話です。

映画「羅生門」のテーマは、「ひとつの事実について、関わった人の数だけ真実が存在するのだ」ということでしょうか。

事実イコール真実ではない、という世の中のことわりを描いた作品だと、私は思いました。

 

 

ネット上の『羅生門』に対するレビュー・口コミ

 

ネット上の『』をまとめてみました。

 

「人間のエゴの恐ろしさがよく描かれている」

「この世の災いよりも恐ろしいものは人の心だ」

「人間の心とは不可解なものです」

「人によって食い違う証言。真実はまさに藪の中。人間とはいったい何なのか」

こういった、人間の心の不可解さを評価した声が多くありました。

もちろん、一方で、監督や映像を評価する声も多くありました。

「語り口、動と静のコントラスト、そのギラギラさ加減」

「白黒だけど、なんとなく色を感じる」

「迫力のある表現が素晴らしい」

「黒澤明監督の日本人離れしたダイナミックな演出がすばらしい」

「何たる衝撃、何たる人間描写。ここまで人間の内面を描いた作品は他にありません」

また、俳優陣に対する賞賛の声もありました。

「何度見ても三船敏郎さんと志村喬さんがかっこいい!」

「俳優陣の鬼気迫る演技が素晴らしいのですが、特に京マチ子が傑出してます」

 

黒澤明監督の「羅生門」、まだ観たことのないかたは、ぜひ一度観てください。